なぜ私は22年間、化学業界を追い続けるのか|化学専門商社・化学メーカーで学んだこと
化学業界は一般の人から見ると少し地味な業界かもしれません。
しかし、私たちの生活を支えている自動車、スマートフォン、住宅、食品包装、医薬品など、その多くに化学の技術や素材が使われています。
私は国立理系大学を卒業後、化学専門商社と化学メーカーで22年以上にわたり化学業界に携わってきました。
営業、調達、輸出入などさまざまな仕事を経験し、国内だけでなく海外での勤務も経験しました。
それでも今なお、私は化学業界のニュースを毎日のように追い続けています。
今回は、なぜ私が22年間も化学業界を追い続けているのか、そしてなぜこの「CHEMICAL-INFO」を運営しているのかについてお話ししたいと思います。
理科が好きな少年だった
振り返ってみると、私が理系に進んだ理由はとてもシンプルでした。
理科が好きだったからです。
小学生の頃から理科の授業が好きで、特に「なぜそうなるのか」を考えることに面白さを感じていました。
中学生、高校生になると、物理や化学への興味がさらに強くなりました。
物質の性質や反応の仕組みを学ぶことはもちろん、目に見えない現象を理論で説明できることに魅力を感じていました。
将来の職業を具体的に決めていたわけではありません。
ただ、「好きなことをもっと学びたい」という気持ちで理系へ進学しました。
研究者への道をあきらめた
大学では化学を学び、研究にも取り組みました。
当時は研究職への憧れもありました。
しかし、自分自身の適性や将来の働き方を考えた結果、研究者の道へ進むことは選びませんでした。
研究そのものは面白い。
けれども、自分は研究成果を生み出す立場よりも、人と関わりながらビジネスを動かす仕事の方が向いているのではないかと思うようになったのです。
そうして学部卒で就職活動を行い、化学業界の営業職として社会人生活をスタートさせました。
当時はまさか、その後22年以上も化学業界に関わり続けるとは思っていませんでした。
化学専門商社で知った「世界は化学でつながっている」
社会人になって最初に驚いたのは、化学品のサプライチェーンの大きさでした。
学生時代は、化学製品は工場で作られてお客様へ届けられるものだと思っていました。
しかし現実はまったく違いました。
原料は世界中から調達されます。
中東の原油。
アメリカの天然ガス。
中国の化学原料。
東南アジアの生産拠点。
これらが複雑につながり、一つの化学製品が生み出されていることを知りました。
為替が変動するだけで価格が変わる。
船が遅れるだけで生産計画に影響が出る。
海外の工場でトラブルが起きれば、日本のお客様にも影響が及ぶ。
化学業界は、まさに世界とつながっている産業でした。
私は商社時代に、そのダイナミックさを肌で感じることができました。
化学メーカーで知った「作ること」の難しさ
その後、化学メーカーでも仕事を経験しました。
ここで学んだのは、「作ること」の難しさです。
化学製品は単に製造できればよいというものではありません。
品質を維持しなければならない。
安定供給を続けなければならない。
安全を最優先にしなければならない。
さらに原材料価格や競争環境も考えなければなりません。
営業時代には見えていなかった苦労や工夫を知ることで、化学メーカーという存在への見方が大きく変わりました。
製品一つひとつの裏側には、多くの技術者や製造現場の努力があることを実感しました。
この22年で化学業界は大きく変わった
私が業界に入った頃と現在では、市場環境は大きく変わりました。
中国メーカーの台頭。
原料価格の変動。
グローバル競争の激化。
サプライチェーンの再編。
そして脱炭素への対応。
化学産業は今、大きな転換点を迎えています。
かつて当たり前だった事業が撤退に追い込まれることもあります。
逆に新しい技術や市場が生まれることもあります。
企業の盛衰を見ていると、化学業界は決して成熟して止まった産業ではないと感じます。
むしろ常に変化し続ける業界です。
それでも私が化学業界を追い続ける理由
化学は社会を支える産業だから
化学業界は目立ちません。
しかし、自動車も半導体も住宅も医療も農業も、化学なしでは成り立ちません。
私たちの暮らしを支える土台のような存在です。
だからこそ、社会の変化を理解するためには化学業界を見ることが重要だと思っています。
世界情勢と産業がつながっているから
原油価格。
天然ガス価格。
ホルムズ海峡。
中国経済。
化学業界は世界の出来事と密接につながっています。
一見すると関係のないニュースでも、化学業界を通して見ると新しい意味が見えてきます。
学んでも学びきれないから
22年間業界に携わってきました。
それでも毎日のように新しい発見があります。
新技術、新製品、新しい企業戦略。
学べば学ぶほど奥深さを感じます。
だから私は今でも業界ニュースを追い続けています。
なぜCHEMICAL-INFOを書いているのか
若い頃の私は、業界ニュースを読んでも内容がよく分かりませんでした。
ナフサ価格が上がるとなぜ困るのか。
なぜ化学メーカーが撤退するのか。
なぜ海外の出来事が日本の工場へ影響するのか。
ニュースの表面は分かっても、その背景までは理解できませんでした。
現在は22年間の経験を通じて、以前より業界の構造を理解できるようになりました。
だからこそ、
「なぜそうなったのか」
「その先に何が起きるのか」
を分かりやすく伝えたいと思っています。
CHEMICAL-INFOでは単なるニュース紹介ではなく、その背景や業界への影響まで含めて解説することを目指しています。
化学業界で働く方。
これから化学業界を目指す学生の方。
企業研究や転職活動をしている方。
そんな方々に少しでも役立つ情報を届けられたらうれしく思います。
まとめ
研究者にはなりませんでした。
しかし、営業、調達、輸出入などさまざまな立場で化学業界に関わり続けることができました。
気がつけば22年。
それでも今なお、業界ニュースを読むたびに新しい発見があります。
化学業界は知れば知るほど面白い。
だから私は、これからも化学業界を追い続けます。
そして、このCHEMICAL-INFOを通じて、その面白さや業界の変化を分かりやすく伝えていきたいと思います。
